スタンド充電器の中を確認。

ICOMのハンディトランシーバー用の急速充電器、スタンド型だから置いて使うときなど便利なのに基本別売でそこそこ高価だからオプション商法などと揶揄される。

現在唯一のハンディ機ICOM IC-T70もそのパターンでこの機種専用のBC-191が入手できなくなる前に買った。

まあ、ごく普通。

アイコム製の機器はこのあたりのカッチリ感がアルインコ製より良い感じ。アルインコのDJ-X7なんかはスタンドチャージャーが附属してるけどなんかグラグラしてて接触不良気味になったりする。

BC-191は本体ときちっと勘合して気持ちがいい。でも値段が高いのに中身が接点だけとか有り得ないし、とりあえず分解してみた。

回路のトレースはしたくないくらいの集積度。ルネサスの8ビットマイコンμPD789112、富士通のレギュレータIC MB3759、JRCのオペアンプNJM2904 なんかの国内メーカーの集積回路が載っている。基板も多層基板で受動パーツ類もしっかりした印象。アマチュア無線機用としてはもったいないくらいの作り。

アイコムのメイド・イン・ジャパンへのこだわりを感じた。

摺動式変圧器の中を観察する。

東芝の商品名スライダックで一般に通じる摺動式変圧器、よく見るものは円筒形のケースに入って調整ツマミが上面にあるタイプ。

手元にあるのはそれとは違って角型のケースに入って電流計、電圧計、スイッチ、ヒューズが内蔵されたもの。メンテナンスのために中を開けてみる。

山菱電機では「ボルトスライダー」と呼称する。東芝はスライダックの後継として山菱のボルトスライダーを推奨しているが、古くからある技術で作られるものなので他のメーカーでも品質に大差は無い。スペックは入力100V、出力0~130V 15Aでごく普通。トランス本体は横に固定されている。重量があるのでゴムのスペーサーで下、左右を支えている。電流計、電圧計はともに信頼の横河電機製でCLASS 2.5のJIS規格品。

スライドトランスの製品で電流計とヒューズを内蔵したものは結構少なくて、電圧はダイヤルに目盛りが付いていればだいたい分かるものの、電流は電流計やクランプメータを使わないと全く分からない。それに電流ヒューズを内蔵していないものも多くて安全に使おうと思うと木板に円筒形のスライドトランスと電流計、電圧計とサーキットブレーカかヒューズを固定した治具を作ることになる。これが結構かさばって取り回しが良くないし上に物を置けないから場所を取るしでスマートじゃない。その点、既製品で角型のスライドトランスは高価だけれど便利。

電圧降下でトランスが必要になる状況なんてよっぽど大電流を長い引き回しで使うのでなければ、商用電源が安定している現在の一般家庭では必要無いが、ちょっとした電気の実験をしたいときに昔ながらのスライドトランスは一台あると助かる。

参考: 直流安定化電源を分解してみた。
https://mzex.wordpress.com/2019/09/07/14838/

『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた2。

家庭用電気針脱毛器を分解したら、予想していたよりおもしろい回路になっていた。

前回記事:
『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた。

Clean+Easy Home Electrolysis Kit Machine Hair Removerの回路をトレース。一部は意図的に削除。

シンプルに見えるけど動作を追うと結構よくできている。汎用ロジックIC 1個でこんなにいろいろ実現しているのはすごい。毛抜きの内部でこんなに感動できるなんて思ってもみなかった。

・基本的な動作として、待機状態では針から皮膚に流れる電流は微量で痛み無しに針を毛穴に挿入できる。挿入した針が毛根に到達して電気抵抗が下がり針に流れる電流が60μAを超えると動作状態に入り電気分解に必要な0.4~0.8mA程度の電流が針から約8秒間供給される。その後待機状態に戻る。

・全体の電源は006P電池に逆接続防止のD1を経由したうえで供給している。(BATT 9[V] – VD1 0.6[V] で Vdd=8.4[V])
・微弱電流により抵抗の変化を監視する待機状態と、電気分解を行う電流を流す動作状態がある。
・待機状態から動作状態の遷移はR1とスタイラスが当たっている抵抗値の比率でヒステリシス付きNANDゲート1/4の入力がH→Lのスレッショルドを下回った時に発生する。
・動作状態から待機状態への遷移は、C2とR4で構成される時定数回路で決定される。約8秒。
・スタイラスのプレートP1が+で針はGNDにつながっている。P1は100kΩを経由しており、待機状態では動作状態に遷移する直前で60μA程度しか流れない。(NANDのH→Lのスレッショルド電圧VH→LがVddの33%だと仮定して Vdd / (100k+50k)[Ω] = 56[μA]) この程度だと皮膚は刺激を感じない。
・本体のプレートはスタイラスのプレートと完全に同電位ではなく、R8を経由しており動作状態でのショートによる針先の破損を保護する。スタイラスのプレートと針は構造的にショートしないのでR8の制限が必要ない。
・スタイラスの先端と本体のプレートを直接接触させることで動作状態に遷移してブザーが鳴るためこれを動作確認として利用できる。
・スタイラスを毛根に挿入してR1の電圧降下が発生するとR2の電圧も下がり、NAND 1/4の閾値を下回ると出力がHになり時定数回路を構成するC2の充電を開始、C2の充電が行われる時間がNAND 2/4のワンショット動作の時間となる。
・NAND 2/4のワンショット動作が始まると、NAND 4/4の出力がHになり、この電圧が操作者が設定したVRを経由してスタイラスのプレートP1に電気分解可能な電流が供給される(動作状態)。このとき最大電流はImax[A] = (Vdd – VD3)[V] / (VR+人体抵抗)[Ω] となり、VRはダイヤルの位置により10.4kΩ~1.5kΩ程度の範囲で可変される。仮に人体の抵抗を8kΩ程度としたら、VRの位置により電流はおよそ0.4mA~0.8mAの範囲となる。
・最大電流はNANDゲートの出力電流の制約によりVRのショートモードでも10mA程度に制限される。(そこまでは想定していない?)
・ダイヤルは半固定抵抗に直結されているだけなので0の位置でも動作状態に電流は流れる。
・C4の充電が完了するとNAND 2/4の出力が再びHになり、NAND 4/4がオフになってスタイラスへの動作状態の電流が遮断される。C1とR6による遅延回路でNAND 2/4と4/4の連動はわずかに遅れるためNAND 2/4のワンショット動作終了時はNAND 1/4を確実に待機状態へ遷移できる。
・待機状態に遷移後も電気抵抗が低い状態であれば再び動作状態を開始する。
・C2充電中はNAND 3/4で構成される発振回路で圧電ブザーを駆動する。
・待機状態でもわずかに電源を消費するため未使用状態でもダイヤルの位置に関係なく電池は無くなっていく。

昨日紹介したリンク先の情報から、抵抗検出つきの電気分解法回路は特許取得されており、回路は異なるが公開されている。この特許について現在は期限切れ。今回購入したPersonal Electrolysisにパテントの記載は無い。現物の回路は特許文書とはだいぶ異なっていて、この特許文書の回路は挿入時適正な電流値になったときから一定時間ブザーを鳴らす機能だけとなっている。また電流の検出方法も違う。

Electrolysis hair removal apparatus – Google Patents
https://patents.google.com/patent/US4216775A/en


毛抜き無しバージョンの回路も推定してみた。

分解の写真や前回紹介したリンクから推定する限り、これだけだと思う。特許回路は実装されていない。回路としては自作バージョンと同じ。ボリュームは10kΩらしい。毛抜き有りバージョンと比較して手抜き感が半端ないコストダウンの跡がうかがえる。工夫があるとしたら、ケースの物理的な構造によりボリュームの動く範囲が制限されて、操作を間違えても極端な電流がかからないようになっているくらいなのと、使っていないときは全く電源を消耗させないことくらいか。毛根に挿入するまで正極側を触らないようにしないと、毛根に達する前に電気分解に必要な電流が供給されてしまって痛いし操作が面倒。今は毛抜き無しバージョンが売られてないから間違わないけど、もし選ぶなら毛抜きの差だけではないから毛抜き有りバージョンにしよう。

※毛抜き有りバージョン、毛抜き無しバージョンについて。
販売元のAmerican International Industries社はブランド名としてclean+easyで毛抜き有り版だけが出ているが、以前はOne Touchブランドでエレクトロリシス製品を出していて、毛抜き有りがDelux版、毛抜き無しが無印版で出ていた。One TouchブランドのDelux版はclean+easyの現行品と全く同じ構成。毛抜きの有り無しの違いだけかと思ったら回路が全く違ってることが判明した。

ちなみに付属の毛抜きは極めて使いにくい。外国のレビュー動画でも「毛抜きはたくさんあるからもう要らないヮ」みたいなことを言っていた。

『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた。

ebayでClean+Easy Home Electrolysis Kit Machine Hair Removerというものを買った。

箱は”NON-LASER / Personal Electrolysis for Face+Body”と書かれている。直訳すると「非レーザー / 顔と体のための個人電気分解」で意味が分からないが、要するに電気分解法によるニードル脱毛をするための家庭用の脱毛器。

電気針脱毛には何種類か方式があって、この機器は脱毛手法として最も古く19世紀に発明された電気分解法(Electrolysis:エレクトリロシス)を用いており、化学的に塩水(体液)を電気分解して生成される微量の苛性ソーダで毛根を破壊する。現在の美容整形の電気針脱毛は電気分解法単体では行わず、高周波で毛根をジュージュー焼いたりする手法なども組み合わせてるから全く同じ効果というわけではない。それでも光脱毛とは全く異なるアプローチを取れるから家庭用の光脱毛器で効果が無い箇所に使用する代替手段としてこの器具は有効。家庭用に普及しているIPL光脱毛(抑毛)よりも本格的な永久脱毛に近い。

clean+easyはブランド名で、脱毛ワックスとかバスソルトをメインに扱っているっぽい。公式ショップではWAX→Depilatory(除毛材)→Electrolysisカテゴリ。
https://www.cleanandeasyspa.com/

美容とか脱毛とか全然興味ないけど毎日の髭処理が面倒でなんとかしたい。美容整形を受けるというのも億劫なので家庭用の製品でなんとかしようと思ってレーザー脱毛器を使ったらまだ少ない白髪な髭が目立ってきた。これには原理的にレーザー脱毛器で対応できないから他の方法で対処しなければならない。家でできるのは毛抜きやワックスを使うくらいしか基本的にはないのだが、このElectrolysisならなんとご家庭で電気脱毛ができる。でも現時点ではアマゾンとか日本で普通に使われる通販サイトだと軒並み売り切れになっていて仕方がないからebayで扱っているショップからリスクを覚悟で取り寄せ。1ヶ月くらいかかったけど問題なく新品が届いた。新品だけど白いケースがちょっと煤けている。

ケースと本体が一体化していてフタを開けるとスタイラス(針)と毛抜きと調整ダイヤルが出てくる。銀が押されたロゴもいい感じ。スタイラスのレバーをスライドすると極細の針が出てくる。太さをマイクロメータで測ったら0.10mmちょうどだった。先端はせん断加工した後のバリが出てるものもあったくらいだから、切りっぱなしで形状を加工してるわけではない感じ。

針の長さは3mmほど。内部の変え針の筒の先からは11mmが露出しており。筒の内部8~9mmのところに止められている様子。変え針の筒内部の余裕がちょうど良いテンションのバネになるからこの長さは重要なはず。

これをプスッと毛穴に挿して15秒電流を流すと毛穴の塩分を含んだ水分が電気分解されて生成された水酸化ナトリウムが毛根の細胞を破壊する。正直痛いし、しばらく腫れるし、慣れないとうまく挿せないしで全然Easyじゃない。



そもそもここは美容系ブログではないし、エレクトロリシスのレビューはそっち系のウェブクリエイターかブロガーに任せるとして、さっそく分解してみた。

※この製品の情報としては http://wa.to/electrolysis/ がすごく詳しい。
※One Touchバージョンの解析とエレクトロリシスの自作については次のサイトが詳しい。
http://www.geocities.ws/hairfreethere/
https://hairtell.com/forum/t/the-at-home-electrolysis-information-site/51445/1

裏のプラスネジ2本を外すと裏ブタが開く。ダイヤルの軸がボリュームに噛んでいるため、それを折らないように引いて分離させる。基板は底ケースの突起2か所のうち1か所でホットボンドを盛って固定しているだけだから簡単に外せる。

内部は簡単なつくりになっている。

基板を観察してみる。汎用のNANDゲートIC 4093BEが載っている。これは通電時に一定時間音を鳴らすほか、スタイラスに流す電流の制御を行う電子スイッチとして機能する。今回買っのClean+Easyブランドの毛抜き有りバージョンで、今は売られていないOne Touchブランドの毛抜き無しバージョンにはブザー機構が無い。ネットに上がっている分解された毛抜き無しバージョンの写真を見るとVR一個がスタイラスの針側についているだけに見える。

回路は割と簡単そうだけど…

デジタルテスタで針の電圧を測ると、電池電圧が8.8Vくらいの状態では針が0Vになっていて持つところが+8.2Vになっている。0.6V程度の電圧降下からシリコンダイオード1N4148を経由していることが分かる。この電流は抵抗とVRで制限されている以外、安定化などはされていない。陰極では2H2O+2e-→H2+2OH-でOH-とNa+でNaOHを生成するため針がGNDになっているのは当然。NaOHみたいな腐食性の生成物にさらされるから針は白金線かな。電流はどれくらいかアナログテスタで測ったら1で0.4mA、10で4mAほど流れた。テスタの電流レンジだからこれはショート時最大の電流。人体に直流が10mAも流れたら命が結構危ないし、それでなくともこの細い針先に4mAも流れてしまうようならかなり痛いことになる。実際は人体が持つ数キロオームオーダーの抵抗を経由するからもっと少ない。

ダイヤルはカチカチっとクリックがあって0~10の段階にセットできるようになっているが、構造を見ると分かる通り半固定VRにダイヤルが直結されてるだけで0にしても電源オフになるわけではない。中ケースの裏を見るとダイヤルにクリックを持たせる機構がつけられているだけだから、実際は無段階で電流の調整ができる。一応使った感を書くと、新品の電池を使ってダイヤル目盛り6でブザー3回目の半分(約20秒)で通電を止め、数分放置してから抜くとほぼ抵抗なく抜けるので施術が完了できた気がする。取説の15秒では抜くときの抵抗感が今一つ残って不十分な感じ。普通の鏡を使うと像が二重になって見にくいのと、ある程度拡大したいので凹面の表面反射鏡がほしい。

簡単に見えた回路は少し追ったらなるほどと思うところもあったので良くできてると思う。壊してもメーカのサポートも受けられないし、動くうちにリバースエンジニアリングで解析しておこう。



この毛抜き有りバージョンの回路は単純ながらも結構動作が考えられていて、待機中はスタイラスを通しては微弱電流しか流れず、針が毛根へ到達したことを微弱電流の電圧降下として捉えると一定時間だけVRで設定する電流がかかるようになっている。針を挿入しきる前に電気分解が始まらないようにしてあるのだろう。中途半端な挿入時に電流がかかって熱傷を負わないような効果もある。毛抜き無しバージョンはVRだけで構成されており、電流のオンオフはプレートへのタッチを使って手動で行うらしく、毛抜き有りバージョンとは回路的に全然別物。

きちんと動作を追ってみた。
『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた2。
https://mzex.wordpress.com/2020/09/27/16881/

1.9MHz帯 SSB解禁

官報号外第171号が告示された。1.9MHz帯のSSB解禁に関わる内容。

インターネット官報
アマチュア局において使用する電波の型式を表示する記号を定める件の一部を改正する件(総務二四二)
https://kanpou.npb.go.jp/20200819/20200819g00171/20200819g001710002f.html

・1.9MHz帯の電波の一括形式3MA、4MAに狭帯域電話、狭帯域データの形式を追加する。

・475kHz帯の電波の一括形式3MA、4MAに狭帯域データの形式を追加する。
・475kHz帯、1.9MHz帯で3MA、4MAが免許されていれば、追加された電波形式で出せる。
・1.9MHz帯でA1Aが免許されていれば、それは3MAとみなす。(475kHz帯はみなさない、また4アマは初の免許になるから申請が必要。)

ということで、A1Aの免許でも書き換え不要。

官報の内容だけからは読み取れないが、当該のバンドで狭帯域電話、狭帯域データの関する技適の認定が必要でICOM、八重洲の新しめの無線機なら同一番号による再認定がとられていて、これに該当していれば今日から運用してOK。載ってない場合の扱いが官報に「簡易な手続き」云々の話が出てなくて分からない。以前のパブコメによると届だけでいいらしいので正直1.9Mのアマ局なんて数が多すぎて文句も出やすいからいちいち相手にしてられないんだろう。技適の再認定をとってくれたメーカーの無駄払いになってないのか?

ICOM
電波法令改正に伴う技術適合証明(技適)番号取得手続き完了のお知らせ
https://www.icom.co.jp/news/5409/

YAESU

1.9MHz帯の拡大および電波型式追加に伴う同一番号認証取得について
https://www.yaesu.com/jp/amateur_index/support/1.9mhz.html

当局のFT-450Dの場合は同一番号認証取得が完了しており免許状も1.9Mの3MAだから、すでにQRV。