ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その2。

前回の記事がごちゃごちゃしすぎて分かりにくいのであらためて整理する。

動作的には次の4点。

1.ATUのロングワイヤをはじめ接地型アンテナにはRFアースが必要。

2.RFアースは大地に短い距離で接続(接地)する。短い距離を1/10λと仮定すると1.8MHz帯では16m、3.5MHz帯でも8m。2階の高さなら5m程度までのケーブルで大地に接続してもRFアースとしての効果が見込める。10MHz帯以上は1/10λが3m以下となり、5mのケーブルでは長すぎる。

3.RFアースを大地に直接接続できない場合は大地に静電結合するカウンターポイズを構成する。2階高さ(2~3m)でカウンターポイズを構成する場合1/2λ四方くらいの大きさが必要。

4.RFアースを大地に直接接続もカウンターポイズも構成できない場合は1/4λのラジアルを用いる。(アパマンハムなら通常はこの方式で使うことになる)

※ここではカウンターポイズとラジアルを別物として扱う。


保安・防護上は次の2点。

5.1/4λのラジアルとして機能する場合は先端に高周波電圧がかかるので感電注意。

6.同軸ケーブルのシールドや保安アースにはRFが流れないようにする。


注意すべき点
◎カウンターポイズとして動作させる場合は対地間に十分な静電容量が必要。このとき線の長さは任意。CQ出版「アンテナハンドブック」参照。

◎対地間に十分な静電容量が得られない場合はラジアル線として動作させる。このとき線の長さは1/4λ+1/2λの整数倍。


1/4λのラジアルを使うバンド分接続すれば基本的には事足るが、ここでは後日書く予定の理由で「人工RFグラウンド」の検討を行う。代表的なものだと次の製品。

・MFJ MFJ-931 「ARTIFICIAL GROUND」
・コメットアンテナ CAG-300X「人工RFグラウンド」
・(過去製品) クラニシ VC-519 「ファジーカウンターポイズ」

アンテナチューナーよりマイナーで数が少ない。自作例もあまり見かけない。ネットで探してもクラニシVC-519やCAG-300Xの内部や回路を解析したものをまったく見かけない。オークションやフリマの掲載用写真ばっかり。日本のアマチュア無線家はこの手の製品によっぽど興味が無いんだろう。海外のアマチュア無線家にはMFJ-931を分解して回路図を起こしてる人がたくさんいるというのに。

しかたがないから、かつて使っていたクラニシ VC-519の内部写真を発掘してきた。今は手放して持ってない。

どの製品も同じような構成で、同じような使い方。

・内部の構成はLC直列共振回路+相対目盛りのRF電流計。
・入力端子はFGと共通でLの一端に繋がる。
・Lはタップ切り替え式コイル、Cはエアバリコンで可変できる。
・ATUや無線機近くに接続して2~3mのラジアル線をつなぐ。
・送信時にはRF電流計の指示値が最大になるように調整する。
・MFJ-931とVC-519/CAG-300Xの回路上の違いはRF電流検出部がLのFGに近いところにあるか、ラジアル出力に近いC付近にあるかくらい。

要するにラジアル線の電気的長さを可変できるようにするもので、機器の根本付近に接続するのはLC部分に電圧腹が来て耐圧オーバーにならないようにするため。チューニング中など電圧腹が仮想アース付近に発生した場合、C付近に放電を見ることがある。感電・火傷しないようにCは樹脂ロッドで操作部分から十分絶縁されている。自作する場合は注意。

調べているとコメットの仮想グラウンドは取説に「アンテナのカウンターポイズとして使える」と書いてあるのに、メーカーに聞くと「アンテナのアースとしては使えない。無線機の保護用。」と説明されるらしい。MFJのはアンテナのアースとして使うことを想定していてコメットのは無線機の保護にしか使えない、みたいな書き方をしているブロガーも居るが、RF電流検出部の位置以外は全く同じ構成だし、とどのつまりLC直列回路なわけで耐圧内で使う限りどうとでも使えるはず。MFJは耐圧300Wと書いているが、コメットには耐圧の記述が無い。作りを見る限りコメット性がMFJ製と比べて特に耐圧が劣るという感じもしない。

まあ型番が300Xってなってるし、同社のアンテナチューナーCAT-300が許容電力300W以下って書いてあるんだからCAG-300Xも300Wで設計してるんじゃないかな(適当)。

これらの装置のコイルがフェライトコアでできてるなら熱に変換して吸収ってのも分かるけど、どの製品も空芯コイルとエアバリコンだけで純抵抗は備わって無いから装置内での熱損失って少ないわけで、RF電流計が指示している流入してくるミスマッチ分のエネルギーがキルヒホッフの第一法則的に何処ヘ行くかを考えれば、単純に人工RFグラウンド装置につないだ長さのラジアルに定在波として載っているはずで、電波として「損失無く」放出されてるはず。

当然本来のアンテナエレメントから出ていく電波とどう相互作用するかは分からないし、電波としてはまともに出ていかないし、接地アンテナ系の電気影像としては利用されないから、きちんとしたRF接地したアンテナよりはアンテナ全体としての効率が下がる。

ATUのアースをどうしたらいいのかわからない-その2。」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: の回想録

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