『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた。

ebayでClean+Easy Home Electrolysis Kit Machine Hair Removerというものを買った。

箱は”NON-LASER / Personal Electrolysis for Face+Body”と書かれている。直訳すると「非レーザー / 顔と体のための個人電気分解」で意味が分からないが、要するに電気分解法によるニードル脱毛をするための家庭用の脱毛器。

電気針脱毛には何種類か方式があって、この機器は脱毛手法として最も古く19世紀に発明された電気分解法(Electrolysis:エレクトリロシス)を用いており、化学的に塩水(体液)を電気分解して生成される微量の苛性ソーダで毛根を破壊する。現在の美容整形の電気針脱毛は電気分解法単体では行わず、高周波で毛根をジュージュー焼いたりする手法なども組み合わせてるから全く同じ効果というわけではない。それでも光脱毛とは全く異なるアプローチを取れるから家庭用の光脱毛器で効果が無い箇所に使用する代替手段としてこの器具は有効。家庭用に普及しているIPL光脱毛(抑毛)よりも本格的な永久脱毛に近い。

clean+easyはブランド名で、脱毛ワックスとかバスソルトをメインに扱っているっぽい。公式ショップではWAX→Depilatory(除毛材)→Electrolysisカテゴリ。
https://www.cleanandeasyspa.com/

美容とか脱毛とか全然興味ないけど毎日の髭処理が面倒でなんとかしたい。美容整形を受けるというのも億劫なので家庭用の製品でなんとかしようと思ってレーザー脱毛器を使ったらまだ少ない白髪な髭が目立ってきた。これには原理的にレーザー脱毛器で対応できないから他の方法で対処しなければならない。家でできるのは毛抜きやワックスを使うくらいしか基本的にはないのだが、このElectrolysisならなんとご家庭で電気脱毛ができる。でも現時点ではアマゾンとか日本で普通に使われる通販サイトだと軒並み売り切れになっていて仕方がないからebayで扱っているショップからリスクを覚悟で取り寄せ。1ヶ月くらいかかったけど問題なく新品が届いた。新品だけど白いケースがちょっと煤けている。

ケースと本体が一体化していてフタを開けるとスタイラス(針)と毛抜きと調整ダイヤルが出てくる。銀が押されたロゴもいい感じ。スタイラスのレバーをスライドすると極細の針が出てくる。太さをマイクロメータで測ったら0.10mmちょうどだった。先端はせん断加工した後のバリが出てるものもあったくらいだから、切りっぱなしで形状を加工してるわけではない感じ。

針の長さは3mmほど。内部の変え針の筒の先からは11mmが露出しており。筒の内部8~9mmのところに止められている様子。変え針の筒内部の余裕がちょうど良いテンションのバネになるからこの長さは重要なはず。

これをプスッと毛穴に挿して15秒電流を流すと毛穴の塩分を含んだ水分が電気分解されて生成された水酸化ナトリウムが毛根の細胞を破壊する。正直痛いし、しばらく腫れるし、慣れないとうまく挿せないしで全然Easyじゃない。



そもそもここは美容系ブログではないし、エレクトロリシスのレビューはそっち系のウェブクリエイターかブロガーに任せるとして、さっそく分解してみた。

※この製品の情報としては http://wa.to/electrolysis/ がすごく詳しい。
※One Touchバージョンの解析とエレクトロリシスの自作については次のサイトが詳しい。
http://www.geocities.ws/hairfreethere/
https://hairtell.com/forum/t/the-at-home-electrolysis-information-site/51445/1

裏のプラスネジ2本を外すと裏ブタが開く。ダイヤルの軸がボリュームに噛んでいるため、それを折らないように引いて分離させる。基板は底ケースの突起2か所のうち1か所でホットボンドを盛って固定しているだけだから簡単に外せる。

内部は簡単なつくりになっている。

基板を観察してみる。汎用のNANDゲートIC 4093BEが載っている。これは通電時に一定時間音を鳴らすほか、スタイラスに流す電流の制御を行う電子スイッチとして機能する。今回買っのClean+Easyブランドの毛抜き有りバージョンで、今は売られていないOne Touchブランドの毛抜き無しバージョンにはブザー機構が無い。ネットに上がっている分解された毛抜き無しバージョンの写真を見るとVR一個がスタイラスの針側についているだけに見える。

回路は割と簡単そうだけど…

デジタルテスタで針の電圧を測ると、電池電圧が8.8Vくらいの状態では針が0Vになっていて持つところが+8.2Vになっている。0.6V程度の電圧降下からシリコンダイオード1N4148を経由していることが分かる。この電流は抵抗とVRで制限されている以外、安定化などはされていない。陰極では2H2O+2e-→H2+2OH-でOH-とNa+でNaOHを生成するため針がGNDになっているのは当然。NaOHみたいな腐食性の生成物にさらされるから針は白金線かな。電流はどれくらいかアナログテスタで測ったら1で0.4mA、10で4mAほど流れた。テスタの電流レンジだからこれはショート時最大の電流。人体に直流が10mAも流れたら命が結構危ないし、それでなくともこの細い針先に4mAも流れてしまうようならかなり痛いことになる。実際は人体が持つ数キロオームオーダーの抵抗を経由するからもっと少ない。

ダイヤルはカチカチっとクリックがあって0~10の段階にセットできるようになっているが、構造を見ると分かる通り半固定VRにダイヤルが直結されてるだけで0にしても電源オフになるわけではない。中ケースの裏を見るとダイヤルにクリックを持たせる機構がつけられているだけだから、実際は無段階で電流の調整ができる。一応使った感を書くと、新品の電池を使ってダイヤル目盛り6でブザー3回目の半分(約20秒)で通電を止め、数分放置してから抜くとほぼ抵抗なく抜けるので施術が完了できた気がする。取説の15秒では抜くときの抵抗感が今一つ残って不十分な感じ。普通の鏡を使うと像が二重になって見にくいのと、ある程度拡大したいので凹面の表面反射鏡がほしい。

簡単に見えた回路は少し追ったらなるほどと思うところもあったので良くできてると思う。壊してもメーカのサポートも受けられないし、動くうちにリバースエンジニアリングで解析しておこう。



この毛抜き有りバージョンの回路は単純ながらも結構動作が考えられていて、待機中はスタイラスを通しては微弱電流しか流れず、針が毛根へ到達したことを微弱電流の電圧降下として捉えると一定時間だけVRで設定する電流がかかるようになっている。針を挿入しきる前に電気分解が始まらないようにしてあるのだろう。中途半端な挿入時に電流がかかって熱傷を負わないような効果もある。毛抜き無しバージョンはVRだけで構成されており、電流のオンオフはプレートへのタッチを使って手動で行うらしく、毛抜き有りバージョンとは回路的に全然別物。

きちんと動作を追ってみた。
『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた2。
https://mzex.wordpress.com/2020/09/27/16881/

『顔と体のための個人電気分解』を分解してみた。」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: の回想録

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