宙に浮くターンテーブル

あるとき磁石で宙に浮かせたターンテーブルというのが雑誌で評されていたのを見たときに、私のオーディオに対する興味は一気に冷めた。製品名は忘れたが記事には「宙に浮いているので振動を排除できる」などとあまりにもあからさまなウソが記されていた。

最新鋭の電磁アクチュエータ制御で振動キャンセルを実現したとかならともかく、だいたい永久磁石で浮かせたところで磁力を通して振動は伝わる。隙間があっても磁石の反発力を通して反対側に力が伝わることくらい磁石遊びをしたことがあるなら子供でも経験的に知ってるし、どこにでもあるダイナミックスピーカは磁力でコーンを駆動していることくらいオーディオを趣味にしてる人なら常識なのに、そういう人を騙すためにこんな記事を書けるオーディオ評論家には科学の常識はおろか、人を欺いてはいけないという社会的倫理も通用しないらしい。基礎的な事を差し置いて「宙に浮いてるから振動を排除できる」などと、完全な嘘で論理をでっち上げて「だからいい音がする」と。なんて無責任なモノづくりがまかり通る業界なんだと思った。

それに重量のあるターンテーブルを浮上させるくらいなのだから相当な磁力を使っているはずで、それが繊細なピックアップに影響を与えそうとかそういうことは考えないのだろう。MM型でもMC型でもピックアップは磁力を使って振動を非常に微弱な電気信号に変えているし、コイルに使われているコアにも磁気飽和やヒステリシス特性があるわけで外部からバイアスになる磁力が加わればそこらへんの特性が変化するかもしれないって考えられるんだけど、そういうことは振動排除の大義名分の前には霞んでしまうのだろう。静磁気シールドは技術的に困難なのにあえてそれを添加するという。

それ以来オーディオ雑誌などというものにも、オーディオの評論などというくだらない落書きにも興味は無くなった。そもそもある程度の周波数・歪特性とS/Nが保てており、筐体がよっぽどの手抜き製品でなければそんなに酷い音は出てこない。製品を売るために嘘で凝り固めたオーディオ評論など世の中から消えるべき社会の害悪。

調べたら、同じコンセプトのオーディオアクセサリは今もあるね。あきれた。

Moon Audio zero gravity audio shelf
http://www.ubergizmo.com/2009/12/moon-audio-zero-gravity-audio-shelf/

HigherFi ANTI GRAVITY
http://www.higherfi.com/hf/shelf1.htm

アンチグラビティーって、別に重力がなくなってるわけでもないしアクチュエータで制御してるわけでもないし。 誇大も甚だしい。YouTubeの動画見たら思いっきりびよんびよん振動してる。いわゆる磁石バネ。 今の高校物理ではバネ定数って習わんのかな。それに永久磁石の同極を対向させてるから時間が経つと保磁力が無くなって着地する気がする。

もうひとつの機能として visually accenting って書いてあるのが微笑ましい。この定価1995ドル (23万円以上!!!) のアクセサリー、機能的にはバネのインシュレータと同じで、それ以外にはvisually accenting の機能しか無いんだよ。ほかにも空気で浮かせますっていうのもあるみたいだけど単なる空気バネであって、振動排除なんていう理想は実現できませんからね。常識的に磁力て静電ノイズより遮蔽しにくいもののはずだけど、強い磁力が悪影響を及ぼしかねんとか考えんのかな。相変わらず平和だなこの業界。

まあ、これくらいなら欲しい。
http://ascii.jp/elem/000/000/978/978349/

またまた出ました新作磁気浮上ターンテーブル

ターンテーブルが空中浮遊するアナログプレーヤー。約39.8万円 – AV Watch
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1152441.html

・・・ため、レコード盤は摩擦や振動などの干渉から開放されるという。」お決まりの殺し文句も載せて。

MAG-LEVオーディオの磁気浮上ターンテーブル試聴会が5月3日から開催 – PHILEWEB AUDIO
https://www.phileweb.com/news/audio/201904/19/20768.html

「プラッターを本体から完全に切り離した状態で浮遊させていることから、床や設置面からの振動を排除するために理想的とされる “フローティング” を実現していることもポイントとされている。」

出ました! 絶対キーワード、「理想的」!! 

だーかーらー、固定磁力の磁気浮上では振動は伝わるっちゅーの。

磁気浮上したところで振動が伝わるのは物理的に避けられないからそれを考慮して価格に恥じない設計をしてるはずだし、提灯記事の謳い文句は偽りだとわかる。そうでなければ磁気浮上させたところで振動の影響受けまくりになるし。

理屈もへったくれもなくて、見た目と文句が本当に効いていると信じてやまないオーディオマニアは「目に見えないもの」が「〇〇に良い」といかにもそれっぽくいわれたらイチコロ。全くもってピュアな人たち。

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